イワナを燻製にしていた里山です。
タマミジンコの土をプレゼントした読者さんから、ミジンコが生まれたとの報告を頂きました。こりゃ、めでたい!
今では複数の容器で飼育出来るくらいに増えたそうです。
――どうやってミジンコの卵入りの土を作ったのか?
――寒いこの時期になぜ孵化したのか?
ミジンコの越冬対策ということで、書いて行きたいと思います。
ミジンコと水温
水に棲む生物にとって水温は非常に重要です。ミジンコも例外ではありません。
夏はわんさかと増えたミジンコも、冬が近付き水温が下がり始めると、繁殖速度が遅くなって行きます。
放っておけば増えずに全滅します。
全滅を防ぐには……
・加温し、水温を一定に保つ
・休眠卵を採取し、保持しておく
この2つの方法があります。
加温する
ヒーター設置の水槽を用意し、ミジンコを飼育する方法です。冬の間も夏と同じように世話をします。
里山は小瓶に分け、大きな容器で湯煎をしています。飼育者の不注意による突発的な全滅を回避するためです。
休眠卵を採取する
ミジンコが産み落とす休眠卵を保存しておく方法です。寒い冬の時期は飼育を一旦中断、春になってから卵を孵化・繁殖させます。
ひとつ問題なのが、「確実に孵化する保障が無い」ことです。
なるべく沢山の休眠卵を確保し、孵化する確率を上げておくことが重要では無いか?と思います。
休眠卵の保存
今回の保存には土を使用しました。
熱で殺菌消毒をした土に集中的に休眠卵をかけ、乾燥させてから袋詰めしました。
休眠卵が大切
直接ミジンコを土にかけても、卵が手に入るわけではありません。休眠卵だけをスポイドで吸出し、土にかけることを繰り返しました。
休眠卵は容器の底に落ちていることが多く、集めるのは難しくありませんでした。
飼育状況によっては休眠卵を見つけられない(肉眼で確認出来ない)場合もあります。
そういった時は、容器の底に溜まったオリごと土に流します。前述の方法のような確実性はありませんが、休眠卵が入っている可能性があるからです。
孵化が成功した理由
プレゼントを送った際、どういう風に孵化させたら良いのかを記した手紙を同封させて頂きました。
水温のことなども、簡単ですが書かせて貰いました。
読者さんは孵化にあたり、きちんと室温が平均してどれくらいか、昼間はどれくらい温度が上がるのかを確認されたそうです。
素晴らしいですよね!
温度が大切とわかっていても、大雑把な確認で済ませてしまう人もいます。
適当にやって上手くいくこともありますが、失敗してしまうことの方が多いです。この室温変化の観察・確認が今回の孵化の成功理由と思います。
平均の室温と日々の変化
室温でミジンコを管理しようとした場合、一日の温度変化がどれくらいあるのかを知っておくことは大切です。
日の沈む朝夕と昼とでは、室温は随分と変化をします。
ミジンコを飼育するのではれば、日中は平均して20℃前後は欲しいところ。寒くても暑くても増えません。
読者さんのお部屋では繁殖がかなりうまく行っている様子です。以前、エビが増えているとのコメントを下さったこともあるので、「温かい部屋なんだな」とは思っていましたが。
室温がミジンコやエビ、メダカの暮らし易い温度に、自然となっているんですね。
卵が新しい
卵が新しいことも重要です。休眠卵は長く放置し過ぎるとダメになってしまいます。秋に採取し、卵の状態で越冬させるイメージですね。
植物の種は眠っている間も僅かながらにエネルギーを消費しています。そのせいか、古くなると発芽率が下がります。徐々に力尽き、芽吹く力が無くなるのではないでしょうか?
ミジンコの休眠卵も同じかも知れません。
おわりに
自分でも未だ試していなかったので、報告を受けた時は本当に驚きました。
――土からミジンコが生まれて来る
何とも不思議な場面です。ワクワクします。
今は保温容器でミジンコを管理しているのでやりませんが、来春、水の中に土を沈めてみようかと思います。
生まれるかな~。