干し柿が好きな里山です。
アオウキクサを間引こうと、水槽に顔を近付けた時のことです。奇妙な泳ぎ方のメダカを1匹見つけました。
苔で出来た島に頭を突っ込んでいたので、最初は「エサ探しかな?」と思ったのですが、何やらフラフラとした感じで力がありません。
水平を保てず、尻が沈んでしまうメダカは、経験上状態が良かった験しがありません。
嫌な予感がしてカップで掬い出してみたのですが……。
水カビ病を疑うが
尻が沈むメダカにも2種類あって、ひとつは前述した弱っている個体のもの。もうひとつは背骨に奇形がある個体です。(への字個体は自然と尻が下がります。)
今回は前者、弱っている個体でした。
水槽で泳いでいる時は気付きませんでしたが、近くでよく見てみると身体がモヤモヤとしたもので薄く覆われています。
――水カビ病ってやつかな?
そう思いました。
経験無しには判断が出来ない
座学的にメダカの病気を学ぶことは出来ます。ですが臨床となると話は別です。
病気の写真をいくら眺めていても、実際に目の前に現れた病気メダカが何に冒されているのか判別すら付きません。写真のようなモデルばかりとは限りませんし、個体によって症状の出方も変化するからです。
今回も「水カビ病かな?」とは思いましたが、断定は出来ませんでした。
webで画像を見ても、里山宅のメダカの姿とは似ていません。別名「綿被り病」と言われるような、はっきりとした所見が見当たらなかったのです。
白点病も酷くなるともわっとした感がある様子。ですが、里山のメダカには白点を確認することは出来ませんでした。
メダカの風邪
急激に水温が低下すると、メダカも風邪をひいてしまうそうです。
その際、粘膜分泌が異常になり、身体全体が白っぽく見えるとのこと。「白く見えるのか」と、改めて隔離したメダカを見てみましたが、粘膜の分泌とは違うようです。
カビを疑った理由
水カビ病を疑った理由としては……
・魚を覆うように広がるもわっとしたものが見られる
・水温低下
・糞の状態と内出血の痕
もわっとしたもの
メダカの顔や胸ヒレあたりが特にはっきりとしています。尾ヒレにももわっとしたものは見られますが、顔周辺程ではありません。
綿状と言えるようなはっきりとしたものではありませんが、カビの一種が身体を覆っているのかなと思いました。
水温が低下すると
水温低下に伴い、繁殖し易くなる病原菌の類がいます。水カビ病を発症させる真菌類もそのひとつで、秋冬にかけて(低水温下で)病気が発症しやすくなる傾向があります。
また、水温低下はメダカの抵抗力(活性)を弱めることにもなります。
病気の発症し易い条件が揃うのです。
糞と内出血
これは病気になったからそうなのか、或いは、そうであったから病気になったのか判断が難しいところ。
ともあれ、隔離したメダカには内出血の痕が見られ、糞の状態も良くありませんでした。
↓尻尾に内出血の赤い斑点が見えます。写真では見えませんが、複数個所あります。
弱っている個体というのは、平常時は何でもない菌にも簡単に冒されてしまいます。
水カビ病の元となる菌は特殊な菌ではなく、水中に少なからず住んでいる菌です。低水温下の体調不良のメダカにカビが繁殖しても、何らおかしなことはありません。
塩浴と経過観察
今現在、メダカは室内の暖かな場所で塩浴をさせています。
塩浴の効果
仮に水カビ病であった場合、根本の治療には繋がりません。
塩に弱い細菌であったのなら、浸透圧の加減で死滅、もしくは繁殖を抑えられるのでしょうが、生憎水カビ病であったのなら塩浴は無効です。
得られる効果としては、メダカが泳ぐのを助けてあげるくらいです。
おわりに
保護してから3時間が経過したところ、朝よりも(あくまで朝より、です)メダカは元気になりました。水温上昇と塩浴による負担減が大きいと思われます。
ただ、泳ぎ方がおかしいことに変わりはありません。潜っても、すぐに頭の方からす~っと浮いて来てしまいます。時に上手くバランスが保てず、くるくると回転してしまうことも。
全く本調子では無いのです。