ミジンコの研究で何がわかるの?解き明かせ!性の決定。光るミジンコが研究室で大活躍!!

明日のサンドウィッチ用にスモークチキンを作っていた里山です。

読者さんから「光るミジンコ」についての情報を頂きました。有り難うございます!

直接ミジンコ飼育に関わるような情報ではなく、専門の機関が行った研究報告なのですが、環境や生物への理解を深めるということで知っておいても良いのでは?と思いました。

これは先の東北大学の研究も同じことです。

ミジンコの世界に引き込まれている里山です。 本日、NHKのディレクターさんが里山宅へと来てくれました。 ...

軽くまとめてみましたので、興味のある方はどうぞ~。

光るミジンコとは

画像:大阪大学リソウより

大阪大学大学院工学研究科生命環境システム工学研究室の渡邉肇教授らのグループが、オオミジンコから光るミジンコを作出しました。(→大阪大学リソウ・該当ページへ

環境ストレスに刺激されて働くオスの性決定遺伝子の働きを調べるために、蛍光タンパク質を使って遺伝子組み換えを行ったのです。

光るミジンコが誕生したことにより、生きたまま、簡単に遺伝子の動きを調べることが可能となりました。

未だ明らかにされていない分野

性の決定には大まかに2つの仕組みがあります。

ひとつはヒトに代表されるような性染色体による性決定です。もうひとつは今回のようなミジンコに代表される、環境による性の決定です。

環境による性の決定は自然界で広く見られるものなのですが、その仕組みに関してはほとんど知られていませんでした。

光るミジンコ作出による成果

ミジンコのオスの性決定遺伝子の働きを、生きたまま簡単に調べることが可能になったことで、ヴリル遺伝子とオスの性決定遺伝子のスイッチが連動していることがわかりました。

ヴリル遺伝子とは

動物の時計遺伝子のひとつです。体内時計を調整する働きを持っています。

ショウジョウバエを使ってアメリカの研究者らがその仕組みを明らかにし、ノーベル賞を受賞しています。

時間と刺激と性決定

画像:オオミジンコ(Daphnia magna) ウィキペディアより

ミジンコのオスを決定する遺伝子は、ダブルセックス1遺伝子です。しかし、この遺伝子が何時どこで環境刺激に応答して働くのかはわかっていませんでした。

そこで登場したのが、前述した光るミジンコです。

遺伝子を組み換え、探る

光るミジンコは環境刺激により、ダブルセックス1遺伝子の代わりに蛍光タンパク質が働くように改良されています。

つまり、光るミジンコの蛍光タンパク質を追って行けば、ダブルセックス1遺伝子の働きがわかるようになっているのです。

時間との関係

研究により、ダブルセックス1遺伝子は産卵後11時間で一次形成体と呼ばれる体の基本構造を作るため、必要な場所で活性化された後、オスに特徴的な触角や生殖器を作るために働いていることがわかりました。

誰が最初にスイッチを入れるのか

――環境刺激を受けた後、どの遺伝子がダブルセックス1遺伝子のスイッチをオンにしているのか?

このことについても研究がなされました。

ダブルセックス1遺伝子が働きはじめるよりも前にオスのみで働く遺伝子を探したのです。登場したのがヴリル遺伝子でした。

時計遺伝子として知られているヴリル遺伝子が、産卵から6時間後にオスの体内でのみ一時的に働くことを発見したのです。

ヴリル遺伝子の働きを強制的に押さえ込んでしまうと、蛍光が消失します。このことからもヴリル遺伝子とダブルセックス1遺伝子には関連性がわることがわかります。

おわりに

今回の研究は、性決定の多様性や進化の理解に大きく貢献したと言えます。時計遺伝子が性決定に関連しているなんて、まさに驚きですよね!

「所詮ミジンコの研究でしょ?ヒトには関係無くない??」

そんなことを思われた方もいるかも知れませんが、果たして本当に「関係が無い」でしょうか?

ミジンコは甲殻類だ!

水中を自由気ままに動き回っているミジンコの姿からは想像もつきませんが、ああ見えてもミジンコはれっきとした「甲殻類」なのです。

そう、エビやカニと同じ甲殻類です。

ミジンコの性決定遺伝子とその遺伝子操作技術が、商業的に重要なエビやカニなどにも応用できる可能性があります。また、甲殻類の養殖で求められているオスまたはメスのみを用いた単性養殖技術の開発にも繋がることが期待されます。

ヒトと全く無関係な研究では無いのです。