ミジンコ観察に忙しい里山です。
――宜しければミジンコの卵を差し上げましょうか?
そんなメールが読者さんから届いたのは数日前。もう何年も屋外のバケツでミジンコを飼育しているそうで、外気温が2℃の今もミジンコが泳いでいるそうです。
「おー!面白そう!!」
ちょっとしたメールのやり取りの後、物を送って頂けることに。無事、本日物を受け取ることが出来ました。有り難うございます!
さて、何が入っているのか?
バケツの底
送られて来たのはティッシュか何かで包んだ、よくわからないものでした。ミジンコバケツの底をさらったものと思います。
一部を水に取り、何が入っているかを観察することにしました。
卵は未確認
水で沈殿物を薄め、濁りが薄まったところで観察開始です。最優先事項は「ミジンコの卵」なので、疑わしいものが無いかを見てみました。
残念ながら、それらしきものは見当たらず。
バケツの中には複数のミジンコがいるそうで、その中の一種がダフニアとのこと。黒い卵鞘を捜しましたが、何処にも見当たらず。
↓上から光を当て透かして見ましたが、それらしきものはありませんでした。
途中、羽虫の幼生と思われる小さなイトミミズを発見しました。
屋外から何を持ち込むかわからないので、こういったチェックは大切ですね。イトミミズはティッシュに包んでポイです。
潰れた殻
気になる形をした物体を見つけました。
ピンセットで摘んでみたところ、クシャっという手応えと共に割れてしまいました。
その時の感触がコザラガイの殻を潰した時と似ていたことから、「これは何かの殻だ」と直感しました。
よーーーく見てみると……?
疑惑のカイミジンコ
正体不明の生きている個体を発見しました。(アイキャッチ写真、ほぼ中央の点)
最初コザラガイかと思いましたが、明らかに動きが違います。容器にへばり付くのではなく、何か体の一部を動かして這うように動いていました。虫の歩行によく似ています。
「これ、カイミジンコってやつ?」
未知との遭遇です。
カイミジンコとは
「カイ」と名にある通り、まるで二枚貝のような殻を持ったプランクトンの一種です。和名を貝形虫(貝虫)と言います。
節足動物門・甲殻亜門・貝虫綱に属し、淡水産のものがカイミジンコと呼ばれます。(見かけがミジンコ類に似ているためです。)
背中に蝶番のある二枚の殻の中に本体があり、殻は開閉自由です。ミジンコのように水中を遊泳することはなく、伏せた状態(匍匐)で移動をします。
里山の持つミジンコ図鑑にその名が無いことからもわかりますが、ミジンコ科には属していません。ウミホタルが仲間です。
実際の画像を見たい方は、岐阜大学のページを是非参考にして下さい。理科教材のデータベースが素晴らしい!(→該当ページへ)
ヒトの大先輩
貝形虫の最も古い化石記録は古生代にまで遡ります。
カンブリア期とオルドビス期の2つの記述を見つけましたが、どちらにしろ恐竜が生まれるそのずっと前の時代です。
貝形虫の化石は多様性が高く……
・古生代以降の地層の時代決定や対比を行う示準化石
・過去の水域の環境の復元における示相化石
などとしても、重要な役割を担っています。
他、化石からも雌雄を判別出来ることから、生殖様式の進化について研究する際の素材とされることもあるそうです。(→参照:プランクトンと微化石・該当ページへ)
何か、スゴイね!
おわりに
途中、カイミジンコに大幅に話が逸れましたが、さておき、なかなか興味をそそられるモノを送って頂き有り難うございました!
今回は常温と加温の両方で、何がどう発生するかを観察してみたいと思います。
到着後の観察では卵らしきものは発見出来ませんでしたが、何処かに紛れ込んでいる可能性は無きにしも非ず。ミジンコ様が降臨される可能性は大いにあります。(ついでにユスリカもねw)
何か動きがありましたら、ブログで報告したいと思います。
里山にミジンコの卵をくれたおっさん(笑)のHPは、下の金ちゃんをクリック!趣味でらんちゅうを飼われているそうです。可愛いっす!