共に暮らす仲間として、何が出来るかを真剣に考える里山です。
先日記事にしました体調不良の紅白メダカが、あの世へと旅立ちました。逝ったのは夜中ではないかと思われます。
体長を崩した原因は依然不明なのですが、死を早めた原因は飼い主にあると言い切ります。
――何故、そう思うのか?
それを一緒に見て行きましょう。
泳げないメダカ
その子を発見したのは、2日前の夕刻です。
紅白メダカの水槽に動きのおかしな子を1匹発見しました。水槽壁に寄り掛かるようにし、元気がありません。ヒレの動かし方も歪で、背筋が傾いていました。
――え?朝は元気だったのに?
何が何だか解りませんが、放っておけばすぐに死ぬ状況ということは解りました。
すぐさま掬い出し、隔離と塩浴。経過観察に入りました。
何で塩浴をするの?
メダカの体内と水槽の水(淡水)では、塩分濃度が違います。
塩分と聞くと「え?」となるかも知れませんが、ナトリウムイオンと言えば良いでしょうか?生体を維持するにはミネラル分は不可欠。それはメダカもヒトも一緒であり、体内には塩分(ナトリウムイオン)が存在するのです。
メダカの場合はどうか解りませんが、ヒトの場合、ナトリウムイオンとカリウムイオンの関係で筋肉が動きます。身体を動かすのにナトリウムイオンは欠かせません。
細かいことはさておき、「メダカの体内と水槽の水は一緒の濃度では無い」のです。
これを調整するために、メダカの体はせっせと動きます。もちろん体力も消費します。健康体ならともかく、弱った身体にコレは辛いのです。
この負担を軽減させるのが塩浴です。
メダカの体液と同程度の塩水(水1ℓに対し0.5%の塩)に泳がせることで、浸透圧の調整による負担を軽減させます。また、浸透圧の調整が難しい細菌などは塩浴させるだけで数を減らすことが出来ます。
「メダカの負担軽減+殺菌」が塩浴の効果です。
臨機応変に使い分ける
塩浴と薬浴を使い分ける必要があります。メダカにとって塩浴はメリットばかりでは無いからです。
水に塩が混じることで、淡水に適応しているバクテリアが死にます。
バクテリアが死ねば水中のアンモニアは分解されることなく、生体にとって「死の水」と成り得るのです。
塩浴をさせる時は期間を区切り、長くても1週間以下に留めます。効果が見られなければ薬浴も検討します。
様々な場面で活躍する塩浴ですが、全ての症状に効果が期待出来るわけではないのです。見極めを誤らないように、日頃から観察することを徹底しましょう。
初心者にはわからないことだらけですが、だからこそ観察をしましょう。
辛くても見続けること
塩浴を開始し一晩が経って、状況が少し変わりました。
発見した当初のメダカは、水面近くを漂う感じでした。自力で沈んでも、ぷか~っと浮いて来てしまうような感じです。
それが今度は、水底に沈んでしまい泳げません。
エラと口の動きから生きているのはわかるのですが、上手に泳げないのです。時折、思い出したように動き出すのですが、すぐに沈んでしまいます。
里山の頭を過ぎったのは、腹を膨らまして死んだ楊貴妃のメスの姿です。
腹の膨らみや沈み方は似ても似つきません。が、「浮こうとしても沈む」という姿が、何となく嫌なモノを想像させました。
――動けない生物に待つ運命
それは「死」です。
空腹の中で
塩浴中のメダカにはエサを与えていませんでした。どういう状況かもわかりませんし、食事による内臓への負担を避けるためです。
余計な食事をさせないことで、内臓は身体機能の維持や排泄に力を回します。
腸から大量の便が排出されました。(色が赤茶けているのはエサのせいと思われます。)
メダカが出し切った後に便を採取、ピンセットで突いてみましたが、グチャっと潰れる感じでした。
果たして健康な便なのでしょうか?嫌な感じでしたが……。
飼育者に出来ること
弱ったメダカは病気とも違うような、よくわからない状態です。もう一晩待って塩浴を中止し、淡水での生活に切り替えようと思い立った矢先でした。
明方、プラケースの底に本当にピクリとも動かなくなったメダカを見つけました。
対応を見誤ると寿命を縮める
死んだメダカの寿命がいか程であったかは知る由もありません。ですが、メダカに対して取った処置が適切であったかどうか……。
エアレーションの必要性
メダカにブクブク(ポンプ)は不要ですが、弱っている時は別。呼吸を楽にするという意味で、酸素供給は必要なのではと思いました。
不必要な水流さえ起こさなければ良いのです。
もう少し環境を整えて、適切な処置をしていれば、このメダカの寿命は若干(例え数日であっても)延びたのでは?と思いました。
おわりに
飼育下にあるメダカにとって、世話人(飼い主)が全てです。エサも住む場所も、弱った時の対応も、全て相手に委ねるしかないからです。
メダカは必死で飼い主に自分の症状を訴えています!!
しかし、駆け出し飼育者にはわからないことだらけ。
場数が必要だなと毎回思います。何事も経験してみないとわからないのです。
死んで行く個体には、「ごめんね」と「有り難う」の言葉しかありません。