冬飼育開始で電気代が2倍になった里山です。(汗)
――親メダカは綺麗な赤や黄なのに、稚魚は何で茶色っぽいのか?
以前そんな質問を頂きました。その時は「細胞が未発達だからでは?」と、曖昧な答えを返してしまいました。きちんと調べたことがなかったのです。
先回ラメについて調べたのですが、ついでに稚魚の体色についても調べてみました。
色素胞と体色
メダカの体色は鱗の色素胞の分布と活動により決まります。
鱗の前方はメダカの真皮に深く刺さっており、その後方、表皮近くの部分に色素胞は分布しています。
色素胞の活動
体表近くにある色素胞は、細胞内で色素の合成と蓄積を行っています。また、色素の凝集と拡散によりメダカの体色を変化させています。
色素胞の中には色素顆粒という粒があるのですが、それが集まったり広がったりすることで、体色が濃くなったり薄くなったりするように見えます。
色素胞の色
メダカの場合、黒、黄、白、虹の4種です。
この内、虹色素胞を除く3種は内部に球状色素顆粒を持っており、光に対する反応性があります。
鱗と色素胞
さて、今度は色素胞のある場所です。色素胞は鱗上にあります。これが今回のポイントで、成魚(親)と稚魚の体色の見え方に関係してきます。
親にはあって子には無いモノ
メダカの稚魚は卵の中にいる時(胚の状態)から孵化して暫くの間、鱗がありません。鱗の発生が確認出来るのは、体長がおよそ1~15mmになった頃です。
このため、稚魚の体の色素胞はブツブツと目立って見えます。
黒・青系統
黒色素胞の色が目に付き易く、稚魚は黒っぽく見えます。
色素顆粒の凝縮度合により、濃い黒だったり、ややグレーっぽく見えたりと変化をします。
白・黄系統
白色素胞は見えなくも無いですが、黄色素胞の色が目立って見えます。稚魚の色としては全体的にクリームっぽい色合いになります。(黄、茶、乳白色と感じ方は様々ですね。)
やはりこの色も色素顆粒の働きにより、濃く見えたり薄く見えたりと変化します。
成長するにつれて
生まれてすぐのメダカの稚魚は、成魚とは違った体型をしています。全体に丸っぽい鰭(膜鰭)がついており、成魚のようにはっきりとわかる形の鰭をしていません。
成長と共に骨格がしっかりとしてきて、鰭もきちんと〇〇鰭とわかる状態になって行きます。稚魚に腹鰭が確認出来るようになる頃、鱗も出来てきます。
この頃には黒、黄といった大まかな色彩ではなく、成魚に近い体色が現れ始めます。
成長の段階で違う色
今現在育成している星河で、成長が早い個体と遅い個体の体を比べてみました。(どちらも同じ頃に生まれた個体です。)
↓始まりはここから。鱗の無い、ちゅるんとしたチビ助でした。
↑成長が遅い個体。未だ全体的に黒っぽい感じで、ブツブツとした点が見えます。
↓成長が早い個体。ブツブツは一切無く、鱗が輝いて見えます。
成長が一目瞭然ですね。
色を左右するのは
体色は色素顆粒や血液により変化します。これらの変化は神経やホルモンの支配下にあり、様々な刺激により異なってきます。(鱗には神経組織が付着しています。)
色揚げのためにエサを工夫したり、環境を整えたりするのはこの為です。
おわりに
まとめながら「ほほう、成程」と思いました。今年の産卵期は、今まで以上にじっくりと稚魚の体を観察しようと思います。