メダカ講座まとめ(5)最終回
メダカ大好き里山です。
先日行われたメダカ講座の記事ですが、今回で最終となります。初日「どうして毎日卵を産むのか」、2日目「メダカの交尾と受精」のおさらいと、ぽろりと零れたメダカ以外の小ネタなど。
どうして毎日卵を産むのか
メダカは日長時間が13時間以上になると、脳下垂体からのホルモン(ゴナドトロピン)分泌が盛んになる。
ゴナドトロピンの作用で生殖巣が発達し、交尾が可能となる。
メダカの産卵は光依存であり、日長時間の条件を満たせば毎日産卵することが可能である。
メダカの交尾と受精
メダカの卵の成熟は光に依存しているため、体内に卵があったとしても光を与えると新たな卵が作られる。光に当たるとホルモンが分泌されるため、否応なしに卵が出来る。
メダカのヒレには性差がある。オスのヒレが長いのはメスを抱き、刺激をするため。特に重要なのは尻ビレであり、切除をすると交尾の成功率が顕著に下がる。
メダカのオスは視覚で興奮する。求愛の際、下からメスに近付くのは、腹部にある生殖隆起を見るため。
眼球摘出などで視力を奪うと、オスは交尾行動を行わない。メスの産卵は視覚に関係なく、オスの尻ビレから与えられる刺激により産卵する。(刺激されないと卵が産めない。)
光の刺激が十分であっても、栄養不足や低水温では産卵しない。
こぼれ話まとめ
ノートにメモ書きしてあるもののまとめ。講座内で先生が話されたことの内、1つの記事にするには情報量が少な過ぎる小ネタ。
松果体と産卵
松果体から分泌されるメラトニンは、ゴナドトロピンの分泌を抑制する。メラトニンが分泌され続ければ性的な成熟は起きない。(卵を産まない。)
病気などで松果体からメラトニンが放出されないと、性的早熟が起こる。
メダカの稚魚と親は一緒に飼える
十分なエサを与えていれば親メダカが稚魚を食べることはない。一緒に飼育は可能である。
春分の日を過ぎると
日照時間が13時間を越えてくる。昼が13時間なら夜は11時間。昼が長いということ。
グッピーは卵巣で受精する
グッピーは卵巣で受精する。オスはメスの体内に精包(精子の塊)を送り込む。オスの尻ビレは幅細で長く、精包を流し易い形になっている。
ニワトリのメスは体内に精子を保存する
ニワトリのメスは体内にオスの精子を保存している。毎回交尾を行わなくても、数回に渡り受精卵を産むことが可能。
陸上の卵生動物は交尾を行う
体液中で受精する必要があるので、オスはメスの体内に精子を送り込む。
メダカのオスの射精(放精)
オスはメスを抱き、泌尿生殖口を交差させる。この時、メスが卵を産む前に射精してしまうオスが多い。(我慢出来ない???)
産卵したての卵は濁っている
メダカのメスが産んだばかりの卵は白っぽく濁っているが、受精すると透明になり、卵膜が硬くなる。
哺乳類の精子は未成熟
メダカの精子は射精された時点で、既に成熟している。すぐに受精可能。
ヒトを始めとする哺乳類の精子は未成熟であり、そのままでは受精不可。(精液には精子を成熟させない成分が含まれている。)
精子の謎が解明出来なかったため、1940年代までずっと体外受精を成功させることが出来なかった。
研究が続けられ、1951年ついにその謎が解き明かされた。未熟な精子を成熟させるには、輸卵管に精子を送る必要があることが判明。メスの生殖器内(体液内)で精子は成熟していく。
哺乳類の体外受精は1959年に成功、ヒトでは1975年に成功した。
魚の卵には穴がある
魚類の卵には卵門という精子の入る穴がある。哺乳類の卵には穴が無く、成熟した精子が卵膜を溶かす酵素を出し中に入る。
メダカは他精拒否
メダカの卵は精子が1つ入ると卵門が塞がる。1つの卵に1つの精子。(他精拒否)
ヒトの場合、精子が開けた穴はその後も塞がらないため、後続の精子も中に入ることが出来る。だが、卵子の元に辿り着ける精子そのものが少ない。
交尾をしないと排卵しない動物
ウサギやネコは交尾をしないと排卵をしない。
海水に住むメダカ
徐々に慣らして行けば、メダカを海水で飼うことも可能。
ブレーキは後から出来る
最初は進むことから始まった。ブレーキは後から出来上がった機能。(体内のフィードバック機能の話を、自転車のブレーキ開発に例えて)
環境ホルモンは女性ホルモン
オスがメス化する時は悪い環境ホルモンの影響を疑う。
メスは発情するがオスは発情しない
発情して生殖に至るには女性ホルモンが関与している。メスは発情するがオスはしない。(常に発情可能だから???)
ネズミのメスの発情時間は非常に短い。短時間だが、その間は交尾可能。発情していないメスは、近寄って来たオスを攻撃する。
メダカは長日動物
メダカは日が長くなると性的に成熟するが、ヤマメやイワナなどは短日動物であり、日が短くなる(=メラトニンの分泌が増える)ことで性的に成熟する。よって秋から冬に卵を抱える。
以上となります。
とても内容の濃い講座でした。担当してくださった岩松先生、開催してくださった東山動植物園関係者様、本当に有り難うございました。
岩松先生は55年間もメダカを見続けているのに、「まだまだわからないことばかり。」と言っていました。そしてこうも言っていました。
「メダカがわかればヒトもわかる。」
日々勉強ですね!!精進します。