メダカ講座まとめ(3)
メダカ大好き里山です。
どこまで行ってもオスはオス。メダカのオスもやはりスケベだった?
メダカのオスとメスの違い
東山動植物園・メダカ館のパネルより
メダカを繁殖させるには必ず雌雄のペアが必要です。まずオスとメスの見分け方のおさらいから。
パッと見てわかりやすい特徴は、背ビレと尻ビレです。
オスは全体的にヒレの幅が広く、背ビレ、尻ビレともに切れ込みがあります。また、肉眼で確認は無理ですが、オスの尻ビレには細かい棘状の突起があります。つまりザラザラしているんですね。
メスはヒレの幅が狭く切れ込みがありません。オスの尻ビレに見られる突起もありません。ですが、メスは実にメスらしい特徴があります。
イラストではわかりやすく強調していますが、尻ビレの前辺りにボイ~ンとした突起があるんです。ボイ~ン!!
メダカのオスはメスの〇〇に興奮する
実験の結果から述べます。
オスは眼球を摘出するなどして視覚を奪うと生殖行動をしません。メスは視覚が無くても生殖行動をします。
――何故か?
オスが視覚によって興奮するからです。メダカのオスにとって、メスのボイ~ンは魅力的なんです!!
オスはメスの生殖隆起を見ている
メスのボイ~ンはもちろん乳房(授乳器官)ではありません。生殖隆起というメス特有の皮膚の盛り上がりです。
この生殖隆起は女性の乳房と同じで、オスにとってはすごく魅力的なモノ。見ると興奮してしまうんです。ボイ~ンが好きとは、メダカのオスも世の男性陣も同じですね。(笑)
求愛を申し込む際、オスはメスの下から近付きます。近付いて、じーっと生殖隆起を見ているんです。
実にスケベな奴です。(笑)
そのスケベさが災いしてか、前述の結果となります。オスは視覚を奪うと生殖行動をしません。
片やメスはと言えば、視覚から訴えるものではなく、触れ合いを大切にしています。大好きなオスに触れられると興奮してしまうんですね。
メダカのオスはテクニシャン?
メダカのメスはオスから受ける刺激によって産卵をします。オスが触れてくれないと、どれだけ腹に卵を抱えていても排出することが出来ません。
産卵はオスとメスとの共同作業なんです。
では、オスはどのようにメスを刺激するのでしょうか?
オスのヒレはメスを抱くために
メダカのオスの特徴を思い出してください。
オスの背ビレと尻ビレは幅広です。そして尻ビレには突起がありましたよね。
メダカの交尾は雌雄が寄り添う形で行われます。
東山動植物園・メダカ館のパネルより
その際、オスは背ビレと尻ビレでくるりとメスを抱き寄せます。その為に幅が広くなっています。
メスを抱いたオスは尻ビレを細かく震わせ、メスの体を刺激します。オスの尻ビレに突起がある理由です。
絶妙な刺激を与えられ、メスはグッと体を曲げます。腹からは卵がポロリポロリ……、産卵の瞬間です。
交尾の一連の動作を知ると、雌雄の特徴の意味がわかりますね。
尻ビレを切断すると?
オスの尻ビレを切除してしまうと、交尾の成功率が極端に低くなります。背ビレを切除した場合も成功率は下がりますが、尻ビレ程ではありません。
メダカの交尾には、尻ビレが大きく関わっていることが窺えます。
メダカのオスは失恋ベタ
ボイ~ンに興奮したオスはメスに求愛ダンスを披露します。ですがメスにも好みがあるので、常に受け入れてもらえるとは限りません。
求愛してきたオスが気に入らない時、メスは頭を上げて「NO」を示します。
それを見たオスは諦めず、更なるダンスを披露します。もう必死ですね。ですが、メスも嫌なものは嫌なんです。再び頭を上げて拒否をします。
すると、オスはメスを攻撃し始めます。
「何でオレじゃダメなんだ!」とメスに詰め寄ってるようですよね。失恋ベタですね~。そんなんだからモテないんだって……。
忍び寄る影に気をつけろ
中にはスニーカーと呼ばれるオスもいます。
スニーカー(sneaker)とは、「忍び寄る者」「こそ泥」という意味の単語。意味通り、スニーカーと呼ばれるオスは、気づかれないように忍び寄ってきて、他のオスと交尾をしているメスの卵にサッと精子をかけていくのだとか。
生き残りのための戦略とはいえ、あまりヒトでは想像したくないパターンです。
まとめ
・メダカのヒレには雌雄差が存在する
・オスの尻ビレは交尾の際、大きな役割を果たす
・オスはメスの生殖隆起を見て興奮する(視覚が重要)
・メスはオスの尻ビレによる刺激がないと産卵できない(触覚が重要)
・オスは求愛を拒否されるとメスを攻撃することがある
メダカの恋愛は、実に興味深いです。