メダカと卵のエトセトラ。子守をするメダカ・サラシノルム

メダカ講座まとめ(2)

メダカ大好き里山です。

前回記事「メダカと光の関係を知ることが、繁殖攻略の鍵となる」でも少し触れましたが、メダカは卵生動物です。卵によって増えていきます。

オスと交尾したメスは、卵を水草などに産みつけ次の産卵に備えます。

ですが、中には子守をする変わったメダカが存在します。

子守メダカ・サラシノルム

サラシノルムメダカは一風変わった不思議なメダカです。

通常、メダカのメスは交尾が終わると、昼ごろまでには卵を水草に産みつけます。ですがサラシノルムメダカに限っては、なんと!卵が孵化する約2週間程の間、メスは腹に卵を抱え続けます。

稚魚が還る日まで子守をするんですね。写真のサラシノルム(中央)は、長い腹ビレで卵を隠すように抱えています。

私のカメラでは性能不足で撮影出来ませんでしたが、間近で見ると……

卵の中に稚魚の姿が見えるんです。

水槽内をよく見てみると、中に稚魚の入った卵を抱えているメスが数匹確認出来ます。(初めて見た時はとても驚き、夢中で観察してしまいました。)

このメダカ、卵が孵化するまでの間は次の排卵が起こることもありません。卵生でありながら卵胎生の特色を持つ、実に摩訶不思議なメダカです。

卵生動物としてのメダカ

メダカは卵生動物です。卵によってその数を増やします。

産卵は光依存であり、日長時間が13時間以上になるとゴナドトロピンの分泌が盛んになり、生殖細胞が成熟し受精可能となります。

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メスが放出した卵にオスが精子をかける体外受精の形を取り、交尾を終えたメスは水草などに体を擦りつけ、卵を産みつけます。そしてまた新たな卵を作ります。

繰り返しになりますが、メダカの産卵は光依存です。光の刺激でホルモンが分泌され、生殖細胞が受精可能な状態に成熟します。

※卵生動物の内、魚類は体外受精が主ですが、爬虫類などの陸生動物は体内受精を行います。体液の中で受精させる必要があるからです。メダカの話から大きく逸れますので、今回は割愛します。

卵胎生動物・例)グッピー

グッピーを始め、カダヤシ目の仲間の多くは卵胎生動物です。

オスは交尾の際、メスの体内に精子の塊を送り込みます。つまり体内受精です。精子はメスの卵巣内に進み、卵膜に開いた穴(卵門)から卵子内に入り込みます。

メスの体内で受精した卵は、母体からの栄養供給を受けず発生します。受精卵が体内にある内は、次の排卵が起こることはありません。(胎児依存)

卵が孵化し体内から受精卵がなくなると、次の排卵が出来るようになります。

胎生動物と排卵

ヒトなどの胎生動物は体内受精により、メスは胎児を体内に宿します。胎児は母体からの栄養供給を受け、やがて子どもとして産み出されます。

胎児の存在により排卵は抑制され、出産し胎児が体外に出されるまで次の排卵は起きません。(胎児依存)

サラシノルムの特異さ

「卵生」「卵胎生」「胎生」について簡単に説明をしましたが、サラシノルムの特異さがわかっていただけたでしょうか?

卵生でありながら、卵胎生、胎生の特色を持っているのです。

卵を体外に放出したサラシノルムのメスの体内(生殖口)には、胎盤様構造(付着糸複合体)が張り付いています。この胎盤様構造には毛細血管も通っており、まるで胎生動物の胎盤のようです。

それでいて、稚魚たちは体内ではなく、体外の卵の中で育ちます。

稚魚たちが卵にいる内はメスに排卵が起こることはありません。卵が孵化し終わるのを待って、次の排卵が起こります。これは胎児依存の特色です。

メダカの世界は実に奥が深いですね。

メダカが卵生か卵胎生か、サラシノルムという変わったメダカがいることなど、特に知らなくてもペットとしてのメダカ飼育には何も影響がありません。

ですが、こういった知識も頭に入れておくことで、ますますメダカの飼育が楽しくなると思います。