初めてカメを解体した里山です。
昆虫食倶楽部さんのイベント「ミシシッピアカミミガメを捕獲・解剖してみよう」に参加して来ました。(→昆虫食倶楽部さんブログへ)
イベント名まま、ミシシッピアカミミガメの捕獲と解剖を行って来ました。
今日はカメの話です。メダカは全く出て来ません。
《注意!》
記事の後半では、カメの解剖写真が出て来ます。
ありのままを伝えたいので、特別な加工はしていません。食事の前後の閲覧はオススメ出来ません。また、そういったものが苦手な方は見ない方が良いかと思います。
閲覧は自己責任でお願い致します。
佐鳴湖に行こう
昆虫食倶楽部さんは静岡県浜松市を中心に活動されています。今回のイベントも浜松市西区にある佐鳴湖で行われました。(→佐鳴湖HPへ)
ちなみに紹介者は猫飯の店長です。ドブガイを食べたことをきっかけに、すっかり「変態」認定されました。里山に色々変なモノを食べて欲しいらしいよ。(困)
さておき、里山はイベントに参加するべく、早起きして佐鳴湖まで行って来ました。
ターゲット発見
受付時間前に着いた里山は、併設されていた公園をブラつくことにしました。
途中、溜池に設置された野鳥観察の台に降りて行ったのですが、そこで早速今回のターゲットに遭遇しました。
ミシシッピアカミミガメです。
少し移動して、橋の上から佐鳴湖を眺めていると……?
↑写真左端、中央よりやや下の部分に何かがいます。
↓望遠機能で撮影したもの。
湖岸で甲羅干しをする姿も見られました。
ミシシッピアカミミガメとは
アメリカからブラジルにかけての広域に分布するカメです。愛玩用に輸入されたものが遺棄され、今ではほぼ日本全国で見られるようになった外来生物です。
在来の淡水性カメ類に比べて産卵数が多い上、水質汚濁の進んだ悪環境への耐性も持ち合わせているため、どんどんと増え続けています。(→国立環境研究所・侵入生物データベースへ)
捕獲!アカミミガメ
受付を済ませた参加者一同は、早速罠の回収へと向かいました。
日光浴罠
一番最初に回収したのは、甲羅干しが好きなカメの特性を利用した罠でした。
甲羅干しをしようと板に上がると、中心の網にカメが落ちる仕組みになっています。中に落ちたカメが弱らない作りになっているので、しばらく放置可能となっています。
エサ代もかからず、手間も無く、の~んびり罠を回収出来ることがメリットです。
ターゲット捕獲
罠を回収すると、中からはカメがごろごろ。全てミシシッピアカミミガメでした。
カニ籠の罠
次いで別の罠設置場所へ。カニを捕まえるための籠を改造、対カメ用に改造された罠を回収して行きます。
こちらは日光浴罠と違い、中にエサが入れてあります。(カツオの頭、内臓)
そこそこ大漁(?)で、ターゲット以外にもクサガメとイシガメが捕獲出来ました。
イシガメ
もともと日本に住んでいる在来種のカメです。石のように見える甲羅と、甲羅の淵のギザギザ、頭部の色(黄土色っぽい)で判別可能です。
↑甲羅の腹側が真っ黒なのも特徴の1つです。
環境の変化に弱く、生息域の宅地化などで数を減らしていたところ、外来種登場で更なる追い討ち。個体数は減少傾向にある様子。
クサガメ
随分昔に大陸から渡って来た種です。
とにかく臭い!!草のような色のカメではなく、くっさいからクサガメです。
脚の付け根に臭いを出す腺があるとのこと。水から上がった瞬間からわかる程の悪臭がします。(ドブ臭いというか、生臭いというか、とにかく臭う!!)
ミシシッピアカミミガメの雌雄を見分ける
「アカミミ」と名が付くだけあって、ミシシッピアカミミガメの目横には赤くラインが入っています。
この特徴、子どもの頃は雌雄どちらにも見られますが、成長するとメスだけにしか見られなくなります。
オスは黒くなって行く
オスの特徴は……
・爪が長い(→メスへのアピール)
・尻尾が太い(→生殖器を隠すため、太くなっている)
・黒い
・メスよりも小さめ
オスは黒化(こっか、メラニンが増加し色が黒くなる)し、全体的に黒っぽくなって行くそうです。若い個体はそうでもないのですが、老齢なオスは黒色をしているのだとか。
確かに、メスと比べると鮮やかさが無く色黒ですね。
駆除が始まったばかりの湖沼には黒化したオスが多くみられ、カメが多いか少ないかの1つの指標になるようです。
メスは大きく鮮やか
メスもオス同様に性的な特徴があります。
・目の横の赤いライン
・爪が短い
・尻尾が細い
・大きく、鮮やかな色をしている
メスの体が大きいのは卵巣の関係です。甲羅があるため、カメは腹を膨らますことが出来ません。大きくならないと卵を沢山産むことが出来ないのです。
カメ毎に雌雄の特徴は異なりますが、ミシシッピアカミミガメの場合は上記で判別可能です。
カメを解剖する
――ただ殺処分するのではなく、対象を深く理解する
佐鳴湖で捕獲を終えた一同は場所を静岡大学に移し、ゲスト講師から外来種に関しての簡単な説明を受けました。
生態工房の片岡さん。里山のグループの解剖に立会って下さいました。(→生態工房さんのHPはコチラ)
↑和亀保護の会の西掘さん。(→和亀保護の会のHPはコチラ)
その後、献体になってくれたカメたちに黙祷を捧げ、専門家の指導の元で解剖を行いました。(生きた個体ではなく、死んだ個体を用いて行いました。)
※実際の解剖写真が数枚ですが出て来ます。血や内臓が苦手な方はここでバックして下さい。
甲羅を切る
解剖するために、先ずは甲羅を切断し、腹部分を剥いで行きます。
甲羅の腹側は、ヒトでいう肋骨にあたり、背中側は背骨となります。甲羅とカメ本体は密着しているので、腹側を剥ぐとすぐに内臓が現れます。
内臓を取り出す
内臓は薄い膜に包まれて、あちこちに動かないように固定されています。その膜を切りつつ、内臓の各部分を見て行きます。
カメの内臓はヒトのそれと近いとのことで、主要な臓器はほぼ一緒でした。
専門家の技術というのは素晴らしいもので、講師の方は臓器を傷付けることなく、中のものを綺麗に取り分けていました。
里山の場合は……?もし里山が外科医だったら、患者さん逝っちゃうレベルで下手でした。
精肉作業に移る?
途中から食べるための精肉作業へ。(謎)
食べるためのイベントでは無かったのですが、何故か流れがそっちの方向に。まま、「見て終わり」より、「食すこと」は大きな学びだよね。
参加していた女子大学生グループが積極的に作業に取り組んでいて、少し驚きました。同時に、冷静に物事が見れる子たちなんだなと感心もしました。
里山も自分で解体したカメの肉は、きちんと頂戴して来ました。相手の命に最大限の敬意を払い、食したいと思います。(調理に関しては後日。)
おわりに
一昔前、日本には外来種のカメなどほとんどいなかったそうです。
ところが、今では何処でも見られる程に増えてしまいました。記事最初の佐鳴湖の様子でもわかりますが、本当に湖沼のあちこちに生息しているのです。
その分、在来種のカメたちが姿を消しています。
今回の捕獲調査でも、ミシシッピアカミミガメが数十匹獲れたのに対し、イシガメは1匹のみです。
――その事態をどう捉えるか?
「全く気にならない」と言う人も居れば、「大変だ!何とかしないと!!」と深刻に受け止める人も居ます。
ここ、なんですよ。
「どうして外来種が増えることがいけないの?」という部分が明確にならないと、誰も関心を寄せないと思います。
これは逆に「在来種を守らなければならない理由」を、ハッキリと示すことでもあります。
今回参加したイベントも楽しくはありましたが、「何がどういけないのか?」というのがイマイチ伝わって来ませんでした。
里山の頭が悪過ぎたせいかも知れません。
若干消化不良気味なので、また機会があったら参加してみます。(←懲りない)