冬のメダカ飼育に挑戦することを決めた日―届いた卵といきなり死んだ稚魚に、自分の無力さがよくわかった日。

ついに冬季デビューを果たした里山です。

それはちょっとした心境の変化でした。里山は「買うことはない」と言っていたメダカの卵を買い、冬季飼育に挑戦することにしました。

――何がそうさせたのか?

とても単純なことです。冬のメダカ飼育も出来ない者が、果たして「達人を目指すことが出来るのか?」と、そう思ったのです。

現在プロとしてメダカ業に専念している方々は、夏には夏の、冬には冬の方法でメダカを育てています。品種の改良に励んでいます。

お金儲け的な部分の向こう側に、「メダカを産業として確立する」「メダカを通じて世に貢献する」「メダカ愛好家の笑顔のために」といった志の高い目標を持っているのです。

その一端に触れたくて、里山は冬のメダカ飼育を開始しました。

で、いきなりトラブル発生でワタワタとなっています。(現在進行形)

それは1本の電話から

購入先には「午前中に届く便にして欲しい」と、予め伝えてありました。初めての、しかも冬の卵購入に胸はドキドキしていました。

メダカたちの飼育に関し、里山は冬にあまり良い思い出がありません。

エビは凍死し、衝動買いしたメダカは変死、ミジンコ昇天、水草は枯れて全滅……。何処にも甘い記憶が無いのです。(泣)

メダカの卵は決して安くはありません。送料を入れれば、それなりの金額になります。無駄にしてしまうのか、或いは、新しい境地に立てるのか?本当にドキドキとしていました。

事前に魚用ヒーターを購入し、用意した器での水温調整テストも完了。準備はOKです!

自宅で宅配便を待っていると、見知らぬ番号から電話がかかって来ました。

「申し訳ありません!仕分けのミスで、お荷物を予定時刻にお届け出来ません!!」

いきなりトラブル発生です。

箱の中は変化する

乾物や書籍の配達ではなく、生物の配達です。時間の経過で中の状態が変わります。

卵の購入先はその道のプロです。到着時間を逆算し、何かしらのトラブル対策済みで荷物を発送していることでしょう。が、それでも、あまりに遅くなるとどうなるかわかりません。

宅配業者に聞くと、到着は14時以降(ほぼ夕方)になりそうだとか云々。最悪です。

何より、朝からずっと待たされていた里山は不機嫌でした。

トラブルに関しての苦情を言い、特別配送でなるべく早い時刻に届けてもらうこととなりました。

青い液体の中で踊る

予定時刻より遅れましたが、電話で伝えられたよりも早い時間に荷物は届きました。状態が気になっていたので、すぐに開封しました。

箱の中に入っていたのは、保温用のカイロ、ビニール袋に入れられた角ばった容器でした。

容器の中にはメチレンブルーで青く染まった水、それに卵が入っています。間近で見ようと顔を近付けた時、何かが動いたのがわかりました。

「え……?」

中には10匹近い稚魚が泳いでいたのです。

初めては「よくわからない!」

このブログで書くのも何度か目になりますが、何事も「初めて」というのは、よくわからないのです。

――既に孵化した状態で届くのは、よくあることなのか?

送られて来た商品の状態が良いのか悪いのかもわかりません。卵を想像していたので驚きしかありませんでした。

ただ、メチレンブルーに稚魚が浸かりっぱなしなのが良くないことだけはわかったので、温度合わせ後、すぐに水を薄めることにしました。

生まれてすぐにサヨウナラ

この行動がダメでした。

メチレンブルーの中でも稚魚は二日程は生きるそうです。そう慌てて水で薄める必要は無かったのです。

輸送による揺れに、急激な水質の変化。孵化していた稚魚は次第に動かなくなり、死んでいきました。

未成熟な稚魚

他にも問題はありました。

卵膜を被ったまま、尾ビレだけが出ている状態の稚魚や、体が成熟し切っていない、腹のヨークサック(栄養の入った袋、卵黄嚢)が大きいままの稚魚が沢山いたのです。

新たに孵化を始めた個体も、ほとんどが卵膜を脱ぐことが出来ず、尾しか出ていない状態で止まってしまいました。しかも未成熟です。

この状態の稚魚があまり良い結末を迎えないことは、夏の孵化で経験済みです。

それにしても数が多過ぎます。何でこんなことになってしまうのかがわからず、購入先に尋ねることになりました。

輸送時の揺れ

配送時に荷物が揺さ振られると、その衝撃で中の稚魚が飛び出ることがあるそうです。

今回の荷物は配送ミスにより、一度別の宛先に行って戻って来た物です。急いで運んで来たため、通常より揺れた可能性があります。

温度の変化

箱の中にはカイロが入っていました。温度が下がり過ぎないよう、保温してあったのです。

このカイロの効きが弱かったり、配送途中の環境で温度が変化すると、それにより稚魚が飛び出してしまうことがあるとのことでした。

卵たちにしてみれば、本来産まれない季節に現世にやって来て、あちこち移動させられてますから。……そりゃ、驚くよね。

自分を見失い始める

軽いパニックになりながら稚魚の対応をする内に、里山はこう思いました。

――私は一体何をしているんだろう?

――この経験は、対価に見合った価値の有る経験か?

何でお金出してまでこんな思いしないかんのだ?!と、何処にぶつけて良いのかわからない気持ちが込み上げてきます。

同時に「こんなことも解決出来ないレベルなんだ」と、自分の立ち位置がよくわかりました。

→明日に続く