メダカたちと共に楽しく暮らす里山です。
チビ助たちの水槽に入れておいたエビちゃん(ミナミヌマエビ)が胞卵しました。厳密には、最初から入っていたエビ(オス)のために別のエビ(メス)を入れたところ、胞卵をしていました。
今日は冬にも関わらず抱卵したミナミヌマエビの話です。
ミナミヌマエビの繁殖期
主に春から夏にかけて繁殖をします。里山自身は見ていませんが、9月~11月の秋頃にも抱卵するそうです。
温度管理された水槽内では、季節を問わず繁殖可能です。
適温は20℃~26℃前後か
諸説ありますが下限は20℃、上限は26℃くらいが平均値のようです。
あまり低温ですと繁殖行動をしませんし、高温(30℃近く)になると死んでしまう可能性が高くなります。繁殖に限らず、飼育時は水温計で温度を確認した方が良いです。
胞卵が確認出来た里山の水槽は、常時26℃設定にしてあります。
雌雄の差
エビは単為生殖をしませんから、交配する相手が必要になります。繁殖目的の際は水槽内に雌雄がいるかどうかを確認しておくことが大事です。
見分け易い部分を知っておこう
エビには雌雄差が存在します。細かく見ていくといろいろあるのですが、ここでは見分け易いと思われる3点を紹介します。
未成熟個体は性的な特徴がはっきりとしていません。よって稚エビの内からの判別は出来ませんが、成熟した個体であれば性差がわかると思います。
体長は基本的にオスが小さく、メスが大きいです。大きさで目星をつけたら、特徴の出易い部分をじっくりと見ていきます。
里山作の(粗末な)イラストは該当部分を強調するため、解剖学的なことは無視しています。だいたいのイメージを掴む程度に留めて下さい。
①ヒゲの長短
エビの鼻先には4本のヒゲ(第一触覚)があります。このヒゲの長さが長いものがオス、短いものがメスです。
②卵巣の有無
成熟したメスでは、胸甲部から腹部にかけて(エビミソの後ろ、頭の殻と胴体の境目)に発達した卵巣が見られます。メスだけの際立った特徴です。
オスの場合、溜まった精子(貯精嚢)が白っぽく見えることがありますが、卵巣とは違います。
③腹節下側の丸み
全体的にオスがシュッとしたシャープな体型をしているのに対し、メスは腹のあたりが丸くなっています。
また頭胸甲(頭の殻)もやや丸っぽいです。
その他の違い
細かな違いを幾つか記しておきます。
泳ぎ回るのはオス
水槽内をあちこちと泳ぎ回っている個体はオスのことが多いです。メスは比較的じっとしています。
模様が多いのはメス
雌雄の見分け方の1つにもなっている卵巣(見え易い)を隠すため、オスよりも模様が多くなっています。
保護色が濃い個体や、模様が目立つ個体を見つけたら、卵巣が見えないかチェックしてみましょう。
目が大きいのはオス
よく泳ぎ回るオスは、大きな目で周囲をよく見ているのかも?
他にも細かな特徴があります。蝦三昧さんのページが見易く勉強になるので、より詳しく知りたい場合はそちらへどうぞ。(→蝦三昧さんへジャンプ)
胞卵の舞
――水槽内のエビたちが、一斉に泳ぎ回る
ミナミヌマエビやビーシュリンプを飼育していると、そういった光景に出くわすことがあるそうです。
これは「抱卵の舞」と呼ばれる行動です。(愛好家間での呼び方で、学術的にそう呼ばれているわけではありません。)
意識していないと気付かない
多分ですが、里山はこの光景を見ています。エビに対する知識が乏しく、それに呼び名があるとか、産卵前の行動とかは知りませんでしたが。
単純に「今日は元気だな」くらいにしか思っていませんでした。
知ってビックリ。
この舞ですが、原因と思われるものがハッキリとわかりません。
web上で「××ではないか」といったようなことは論議されているのですが、研究者の目線で根拠を示していたものは、残念ながら見つけられませんでした。これは専門書でも見ないとわからないですね。
有力であろうとあげられているものに……
・成熟したメスが脱皮後に出すホルモンにオスが群がる
・月齢が関係している
この2つがあります
脱皮後の交尾
多くのエビでは、メスの脱皮後に交尾が行われるとのこと。里山宅の水槽でも脱皮殻が発見されています。
またオスが活発に泳ぎ、メスを探し回るような行動も見られました。背後から捕まえるような一場面も。
ただ、メスからホルモンが出ていたかどうかまではわかりません。
脱皮後の交尾に関して思うこと
里山が思うに、これはそういう「仕組み」になっているのでは?と。
胞卵したメスが脱皮をしてしまうと、殻ごと卵も取れてしまいます。結果的にオスも子孫を残せなくなってしまいます。
脱皮した後のメスから「交尾しても良いよ」とホルモンによる知らせがあって、初めてオスは交尾が出来る状態になるんじゃないかなと思いました。(あくまで思っただけです。これは研究者じゃないとわからんね。)
月齢と産卵
生物の産卵と月齢(潮の満ち引き)が関係していることは、一度は聞いたことがあるかと思います。
産卵は大潮の日に行われます。
実際に月齢カレンダーを用いて調べてみました。(→参考:こよみのページ様)
図:こよみのページ・月齢カレンダーより
里山の動向を併せて振り返ります。
1月1日(月) 《月齢13.9 中潮》
メスの体色が日に日に濃い褐色なって来ており、死ぬのでは?と不安になっていた。
1月2日(火) 《月齢14.9満月 大潮》
オスが激しく動き回る。メスの脱皮殻と思われるものを発見。
1月3日(水) 《月齢15.9 大潮》
メスの抱卵に気付く。
ここから幼生の放出を逆算してみることとします。
逆算の理由
幼生の放出も産卵と同じで、大潮の流れに乗り、広い範囲に分散される仕組みになっているからです。
水温や環境の影響もありますが、一般的にミナミヌマエビの卵が孵化するまでに二週間(14日間)かかると言われています。
卵発見日(産卵日)を0日目とし、カレンダーと照らし合わせてみましょう。14日後は1月17日(水)です。
なんと17日は月齢0で新月、しかも大潮!!
凄いですね……。もしこの予定が遅れた場合、4週間後の31日の満月(大潮)となるのでしょうか?
こういうことは何回も統計を取らないと、嘘か真かわかりません。今回のケースだって、実際に稚エビが生まれないことには何とも。
ただ、孵化までの楽しみがグッと倍増したのは確かです。
まとめ
・繁殖に適した水温になっていれば、ミナミヌマエビは四季を問わず繁殖する
・繁殖させるのなら、雌雄のペアを必ず入れる
・交尾は成熟したメスの脱皮後に行われる
・抱卵、孵化は月齢の影響を受けている可能性
生物って神秘的だよね。
地球という惑星の中のほんの小さな存在でも、宇宙からの影響を受けているんだなーと。逆もまた然り。
自分が宇宙の一部であることに気付く瞬間です。
コメント
新年あけましておめでとうございます。
いつも詳しく理論的な投稿で学んでいますメダ歴3年生です。
お正月にヤフオクである方から「ミナミヌマエビ」を
100匹入手することになりました。
飼い方がわからないので取りあえず春まで10匹位ずつ分散して入れようと考えている所です、屋外の水槽と屋内無加温水槽ですが。
noboruさんへ
明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
ミナミヌマエビの件ですが、相手先の飼育環境は把握していますでしょうか?
加温水槽で育てられたエビを冬の屋外水槽に入れると、水合わせの有無に関わらず、仮死状態→死となる可能性が非常に高いです。室内無加温も安全とは言えません。
送られて来た飼育水の水温を必ず確かめて下さい。手で触って「温かい」と感じるようであれば、18℃~25℃はあると思います。
今現在、屋外水槽であれば10℃を切ることが普通、早朝夜間は2℃~3℃まで水温が落ちます。地域によっては氷が張っている時期です。低温水槽に入れられることは、エビにとって致命傷となるでしょう。
室内でも同じです。元の場所と水温に差があり過ぎる場合、数日で死にます。
ヒーター不使用で通すのであれば、水温が最低でも15℃前後を常に保てる部屋(場所)を探して下さい。
冬の河川などで捕獲して来たものに関しては、そこまで心配する必要も無いでしょうが……。
エビちゃんたちが元気に冬越し出来ることを祈ります。
今日は
早速のアドバス済みません。
送り元は「屋外無加温」と記事が有ります。
水合わせをしっかりやれば何とかなるかも、、、。
明日到着予定です、暫く様子を見て状況を確認出来れば投稿します。
お手数かけました。
noboruさんへ
屋外無加温でしたら、水合わせをしっかりやれば大丈夫ですよ。
極端な温度変化は先ずNGなのですが、中でも怖いのが「温→冷」への変化です。
ヒトで例えるなら、温かい風呂から急に氷水に入れられるようなものですね。一瞬、体が反応出来ず「???」となり、次いでバイタルサインがおかしくなって行きます。運が悪ければ死にます。
温度合わせをする前に、送られてきた飼育水と用意した飼育水の温度を調べておくことをオススメします。
初挑戦!落ち着いて行きましょう。応援しています。